【7月定例会】マンション管理組合が抱える課題
- anzenmanshonproject
- 9月27日
- 読了時間: 3分

7月に開催されたマンション管理組合による実践共有会では、各マンションが抱える課題や取り組みについての発表が行われ、共通する問題の整理と解決策の共有がなされました。以下に主な課題を分類し、重要な論点についてご説明いたします。
1. 大規模修繕と設備更新
多くのマンションでは築年数の経過により、排水管や給水管、配電盤、窓・サッシなどの老朽化が進行しており、大規模修繕工事が計画されています。特に排水管改修では、専有部に縦管がある構造や保育施設との兼ね合いから、工事費が高騰するケースも見受けられました。屋上防水やシーリングの周期見直しも議論されており、専門家の助言を得て工事の必要性を精査することが重要とされています。
また、屋上へのアンテナ設置による収益確保を図る動きもありますが、最上階住民からの電磁波や倒壊リスクへの懸念があり、説明会の開催や遮蔽・補強対策の実施が求められています。収益と住民感情のバランスを取ることが課題となっています。
2. 財政問題と資金調達
修繕積立金の不足や管理費の値上げは、多くのマンションで共通の課題となっています。一部では管理費を3倍にする提案もあり、住民への丁寧な説明が不可欠とされています。資金調達の手段としては、住宅金融支援機構の「すまいる債」や国債の購入による利子活用、借入れの活用が紹介されました。特に「すまいる債」は安全性が高く、利率割引や保証金の軽減などのメリットがあり、実例も報告されています。
借入れについては、築40年頃に多額の経費が必要となるため、その時期を過ぎれば返済に充てられる剰余金が出る可能性があるとされ、必ずしも否定的に捉えるべきではないとの意見が出されました。
3. 管理運営と理事の成り手不足
理事長や役員の成り手不足は深刻な問題であり、協力金や報酬制度の導入が進められています。外部所有者や辞退者に対して管理協力金を徴収する例もあり、一定の成果があるものの、報酬を支払っても辞退する住民も存在しています。制度設計と住民の理解促進が今後の課題です。
また、管理会社による役員指定の恣意性や、長期修繕計画の見直しに伴う総会運営の難しさも指摘されました。中長期課題検討会を設置し、理事任期を超えるテーマ(建替え、売却、コミュニティ形成など)を扱う取り組みも始まっています。
4. 防災対策と補助金活用
防災用品(簡易トイレ、大容量バッテリーなど)の購入にあたり、補助金の活用方法や町会との連携が議論されました。都の事前チェックを受ける必要がある「東京とどまるマンション」制度の申請手順や、ネット通販によるコスト削減、一括購入による効率化が紹介されています。
5. ごみ置き場と共用施設の管理
ごみの出し方や管理方法については、住民による輪番制の負担や施錠忘れの懸念があり、管理人による施錠・開錠や電子錠の導入、タイマー設定などの工夫が提案されました。
共用トイレについては、部外者の使用が問題となっているマンションがあり、人感センサーライトの設置などで使用抑制を図る工夫が共有されました。
6. 高齢者対応と安全管理
認知症高齢者が他の住戸に誤って入ってしまう事例や、花壇での転倒事故による入院などが報告され、安全管理の強化が求められています。レクリエーション保険への加入や注意喚起の配布など、予防策が講じられています。
今回の共有会では、マンション管理における多様な課題が明らかとなり、財政・設備・住民協力・安全管理など多方面にわたる対応が必要であることが確認されました。今後は、専門家の助言を得ながら、住民の理解と協力を促進し、持続可能な管理運営体制の構築が求められます。




コメント