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大規模震災に備える―その時どうする、その後どうする:江戸川区管理組合セミナー


首都直下地震の発生が現実的に想定される中、江戸川区内マンション協議会では、区内管理組合の防災力向上と実践的な備えの普及を目的として本セミナーを開催いたしました。当日は多くの管理組合役員や住民の皆さまにご参加いただき、「発災直後に何をすべきか」「その後どのように復旧していくか」という、これまで十分に共有されてこなかった実務的な課題について、専門家の知見が示されました。本セミナーは知識の習得にとどまらず、各マンションが自ら判断し行動できる体制を構築するための契機となることを目指したものであり、今後の協議会活動における重要な基盤となる内容でした。

■主催:東京都マンション管理士会 城東支部/江戸川建築設計協同組合/江戸川区内マンション協議会
■後援:江戸川区
■日時:2026年3月20日(金・祝)13時30分〜15時40分
■会場:船堀コミュニティ会館 集会室1

■第1部講演

「大地震、その時どうする?防災ガイド」

防災アドバイザー 奥田 建蔵


本講演では、発災直後のマンションにおいて何が起こり、管理組合と住民がどのように行動すべきかについて、非常に具体的に説明されました。

講師からは、自身が居住するマンションでの経験と、熊本地震の被災実態から導かれた教訓として、「発災直後は誰もが何をしてよいかわからなくなる」という現実を強調されました。従来の分厚いマニュアルは、災害時には開くことすら難しく、結果として初動の遅れや混乱が被害を拡大させる要因となります。


江戸川区においては、建物被害だけでなく、ライフラインの長期停止が想定されています。そのため、行政の支援が届くまでの数日間は、マンション単位で住民の命と生活を守る必要があります。この前提に立ち、「在宅避難」を成立させるための備えとして、水・食料・簡易トイレ・電源といった個人備蓄の重要性が示されました。


一方で、大切な視点は「共助」、すなわち管理組合の初動対応にありました。熊本地震の教訓から生まれた「アクションカード」は、1枚に1つの行動を明示し、役割ごとに配布することで、誰でも迷わず行動できる仕組みです。

具体的には、・住民の安全確保・安否確認・閉じ込められた住民の救助・備品の確保・災害対策本部の立ち上げといった行動を、即座に実行できる体制を整えることが重要です。

被災時から復旧まで必要な対応がわかる「マンション地震対応箱」

発災時に、住民が対応する手順を記した「初動アクション」


本講演を通じて、「防災とは備蓄や設備ではなく、意思決定と行動の仕組みである」という本質が共有されました。訓練や対話を通じて、実際に動ける状態をつくることの重要性が強く示されました。


■第1部講演

「大地震、その後どうする?失敗しないマンション再生」

元福岡大学教授 古賀 一八



本講演では、発災後のマンションが直面する現実と、復旧を成功させるための考え方について解説されました。

古賀先生はは、これまで400棟以上の被災マンションの復旧に関わってきた経験から、「防災の目的は命を守ることだけではなく、無駄な時間や費用をかけずに元の生活を取り戻すことにある」と述べられました。

マンション地震対応箱に入っている震災後の管理組合の活動モデルを説明する古賀先生
マンション地震対応箱に入っている震災後の管理組合の活動モデルを説明する古賀先生

発災後、マンションには、・人的被害・建物被害・設備被害・合意形成の崩壊という4つの問題が同時に発生します。


特に「合意形成の崩壊」は深刻であり、住民同士の対立や不信感が生じることで、復旧が長期化する原因となります。講師はこれを「第2の災害」と表現されました。

復旧は大きく2つの段階に分かれます。第1段階は「サバイバル(発災から約2週間)」であり、命を守ることが最優先となります。第2段階は「リカバリー」であり、被災判定の取得、保険申請、工事発注などの長期的な対応が必要となります。


また、「マンションは多くの場合、建て替えではなく補修で再生可能である」という点が強調されました。被害の見た目に惑わされず、構造的な判断を行うことが重要です。

さらに、補修費用の相場を理解しておくことが、不適切な工事や悪質業者からマンションを守る上で不可欠であると指摘されました。震災後には判断力が低下しやすく、安易な契約が大きな損失につながる可能性があります。

本講演からは、「復旧は技術だけでなく、合意形成と判断力の問題である」という重要な示唆が得られました。


■第2部 公開相談会

第2部では、講師や専門家に直接相談できる公開相談会が行われました。参加者からは、日頃の管理運営や防災に関する具体的な課題が多く寄せられ、非常に実践的な議論が展開されました。


主な相談内容としては、・耐震補強の効果と限界・防災備蓄の具体的な整備方法・復旧工事における業者選定のポイント・地域や自治会との連携のあり方などが挙げられました。

講師からは、「専門家任せにするのではなく、管理組合自身が判断できる力を持つことが重要である」との指摘があり、参加者の関心も高く、活発な質疑応答が行われました。

また、マンション単独での対応には限界があるため、協議会を通じた横のつながりの重要性も共有されました。情報交換や事例共有、専門家との連携を通じて、各マンションの防災力を高めていく必要があります。

本相談会は、参加者が自らのマンションの課題を具体的に認識し、次の行動につなげる貴重な機会となりました。


■まとめ

本セミナーを通じて、マンション防災の本質は「備えること」だけではなく、「動けること」「判断できること」にあることが明確になりました。

江戸川区内マンション協議会としては、今後、・アクションカードなど実践的ツールの普及・管理組合同士のネットワーク強化・専門家との継続的な連携を推進してまいります。

大規模震災は避けることができませんが、備えと行動によって被害を大きく減らすことは可能です。本セミナーで得られた知見を各マンションに持ち帰り、「その時に動けるマンション」の実現に向けた取り組みを進めていくことが、今後の重要な課題であると考えております。


マンション防災を進めるご相談はこちらで受け付けています

防災は難しい取り組みではありません。まずは理事会で1時間の取り組みから始めることができます。何から始めるべきか迷われている管理組合の皆さまは、ぜひ一度ご相談ください。大規模地震に備えて、マンション防災を「住民で対応できる仕組み」として整える第一歩を、共に進めましょう。左のQRコードまたは下記のメールまでお気軽にお声がけください。

お問い合わせ)江戸川区内マンション協議会  

マンション防災推進担当 奥田


 
 
 

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​江戸川区内マンション協議会は、江戸川区内にあるマンションの管理組合が加入している非営利団体です。協議会では、毎月近隣マンションの管理組合が参加し、マンション管理に関する情報交換を行っています。

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なぎさニュータウン管理組合内
江戸川区南葛西7丁目1−21

担当:奥田

E-mail: info.manshonkyogikai@gmail.com

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