「復旧から復興への道へ」一部損壊マンションの取り組み事例
熊本地震で被災した多くのマンションは、いったいどのような事態となったのでしょうか。
半数を超えるマンションで起きた被災認定「一部損」という苦境から、住民のみなさんと苦難を乗り越えて再出発まで、40世帯88人で歩んだ道のりを、被災の対応やご苦労されたことをもとに、お話しをいただきました。
このセミナーは、熊本県マンション管理組合連合会の皆様のご協力をいただき ”被災地熊本からマンション防災の知恵を江戸川区へつなげる~熊本地震で管理組合はどう対応したか~” というテーマで、2回のシリーズとして現地よりwebオンラインでお話を聞かせていただきました。(第1回目「熊本地震で管理組合はどう対応したか」)
日時:2021年 2月28日(日)14:00-15:30
対 象: 江戸川区内マンション協議会会員、マンション防災調査参加管理組合、調査関係先、防災関係者様など
参加:約40名
運営:オンライン web会議
今回のセミナーには、1回目と2回目とも、福岡大学元工学部教授の古賀一八先生、元マンション管理組合連合会会長の川上湛永様にも参加いただき、専門家としてのコメントもいただきありがとうございました。熊本マンション管理組合連合会のみなさまには、全面的にご協力をいただきました。被災地より貴重な体験談と温かなご支援をいただき心よりお礼申し上げます。熊本市役所や江戸川区の皆様にも参加いただき、今後の地域での対応への輪が広がり感謝申し上げます。
震災対応のポイントは、住民の合意形成。
今回、震災対応のポイントにあげられたのは、「住民の合意形成」です。復旧工事を進めていくには住民の合意形成が必要で、「自立・資金・情報」がうまく噛み合うことが大切なのだそうです。
「震災復旧の流れ」と震災後の「管理組合活動のモデル」
1回目にも説明がありましたが、「震災復旧の流れ」と震災後の「管理組合活動のモデル」をいかにやっていくかがポイントで、今回詳しく説明をいただきました。
「復旧から復興への道へ」一部損壊マンションの取り組みの流れ
1熊本地震発生時の行動
・2016年4月16日(土)午前1:25 震度7の地震発生
・外に飛び出しますが、避難所は安全確認ができずへ入れないので引き返すことに。
・深夜暗く寒さをしのぐため「車中」「居室」「集会室」で避難へ。
・集会室を避難所として利用し、安否を確認しました。
・ライフラインの復旧は、電気はすぐ復旧、ガスは5日後、EVは7日後。
2震災復旧に向けて
・被災状況を「応急危険度判定」「罹災証明」「地震保険」「耐震診断」で把握します。
・「被災マンション相談会」「被災マンション修復セミナー」「震災復旧工事現場見学会」
などに参加して情報を収集
・第1回震災復旧説明会を住民むけに開催
「被災状況について」「震災工事について」「資金計画について」「今後のスケジュール」
などを説明
・施工会社の検討 震災工事の経験がある会社を探し説明を受けて見積もりを依頼する
・資金計画は、修繕積立金の残高が少なく災害復興住宅融資と合わせて、資金調達可能額は
9400万円。工事費見積もりは1億円を超えたため、9000万円以内の工事に調整。
・修繕積立金の値上げの試算を行い、第2回震災復旧説明会を開催する
臨時総会を開催し「工事実施承認」「工事業者決定」「資金計画承認」「修繕積立金の改
訂承認」を議案にかけ、全ての議案を承認。
・定期総会の開催で「業務運営計画」「震災復興融資」「集合郵便受け・宅配ボックスの設
置」の全ての議案を承認
・震災復旧工事説明会の開催
3震災復旧工事について
・熊管連とのコンサルティング契約を締結し、専門家の先生の指導のもと「仮設間仕切り工程の見直し」
4復旧から復興へ
・オートロック工事説明会・臨時総会の開催・更に住みやすいマンションへ
5工事収支
災害復興住宅融資の利用と工事費を節約し、長年の懸案事項も解決する
6宅地復旧工事
熊本市宅地復旧支援事業を申請し敷地全体の補修工事を行いました
7居住者支援
・災害義援金の代理申請や被害状況等確認書の交付を行いました。
今回は、熊本地震で半数を超えるマンションで起きた被災認定「一部損」という苦境から、住民のみなさんと苦難を乗り越えて再出発まで、40世帯88人で歩んだ道のりを、被災の対応やご苦労されたことをもとに、お話しをいただきました。
東京に住み、震災体験がない私たちにとって、被災時にどのようなことが起きて、どう対応すれば良いのでしょうか。今回のセミナーに参加された方から、「具体的な情報を知ることができ、大変参考になった」といったご意見が寄せられていますので、ご紹介します。
<参加された方から寄せられたメッセージ>
・実例の話は大変参考になります。
・実体験の無い我々にとって、貴重な体験談をお聞きできました。今後、体験したいわけではありませんが、非常に役立てる事が出来ると感じました。
・発災後の再建部分は、あまり具体的な情報を知る機会が無かったので、大変参考になりました。
・予定外の支出が発生するということを改めて感じましたし、工事完了まで入らないお金もあることを知れたことなど参考になりました。
・復興にあたり必要となる費用の額とその調達について、相当明確に知ることができた点
・本日学んだことをマンションで広めていきたい。
・災害対策会議でこのセミナーの内容を共有したい。
・補修・再建策を検討する中で、自主管理的な考え方がないと進めないということがわかりました。完全な自主管理というのは現実的に難しいのでしょうが、管理組合の運営について管理会社に完全に任せていたら、たぶん何もできなくなる。大事なことは自分たちで決めることを意識して動くことが大事
参加者のみなさんの防災の輪を通して、江戸川区のマンションで管理組合を運営されている方々に広がり、大規模震災が起きた時に想定される被災状況を学ぶ機会が生まれ、各マンションでの取り組みが進むことを願っています。
今後、映像や詳細の内容は、このホームページなどで情報発信をしていきます。
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