2つの老い「老朽化」「高齢化」問題に、
マンション管理組合は、どのように向き合えるか。
「建物の老朽化」と「住民の高齢化」という”二つの老い”は、管理組合が直面する問題となっています。築40年を超えるマンションも協議会に多い中で、第12期通常総会の記念セミナーでは、「生きのびるマンション」<二つの老い>をこえて の著者で豊富な取材例をもつ作家の山岡淳一郎さんをお招きし、”二つの老いに対処できずに衰退化していくマンション”と、”住民たちの努力でコミュニティを作り資産価値を高めるマンション”の事例を紹介いただきました。スラム化と楽園を分けていく違いにスポットを当て、私たち管理組合がこの問題に対処していくヒントを教えていただきました。
1.「二つの老い」の重圧、再生への道標 ・どのようにマンションは廃墟化するのか ・住民の高齢化で所在不明連絡先不通という問題 ・高齢化で住民の認知症への対処も問題に ・マンションの維持管理を評価する仕組み作りへ 2.大規模修繕の闇 ・住民に見えないところで相見積もり
3.大規模修繕〜常態化したキックバック ・大規模修繕の構図でキックバックがやり取りされる ・異議を唱えると
4.大規模修繕工事に関する実態調査 国交省
・業界に指導し団体が状況改善する指針を出す
5.シニア向けマンションの末路
・バブルの頃のシニア向けマンションで、買い手がつかない状態に
6.「二つの老い」を超えて <コミュニティこそ資産>
「ルミエール西京極」管理規約に「管理組合法人」の目的を明記し、維持管理展開
・マンションの将来を考える仲間が集まる
・大掛かりな修繕に取り組む
・なぜ積極なコミュニティー活動ができたか
「稲毛海岸三丁目団地」建て替え失敗から大規模改修、「空き家対策」若い世代入る
・建て替えの方針が実らず老朽化
・築70年の維持を目指す
・DIYリノベーションで若い世代の入居誘致
講師の先生
ノンフィクション作家 山岡淳一郎
1959年愛媛県生まれ。「人と時代」を共通テーマに近現代史、政治・経済、建築、医療など分野を超えて旺盛に執筆。著書は『気骨 経営者土光敏夫の闘い』(平凡社)、『田中角栄の資源戦争』(草思社文庫)、『後藤新平 日本の羅針盤となった男』(草思社)、『原発と権力』(ちくま新書)、『国民皆保険が危ない』(平凡社新書)、『あなたのマンションが廃墟になる日』(草思社)ほか多数。
著書
生きのびるマンション –<二つの老い>をこえて
1章 何が「スラム」と「楽園」を分けるのか
2章 大規模修繕の闇と光
3章 欠陥マンション建て替えの功罪
4章 超高層の「不都合な真実」
5章 コミュニティが資産価値を決める
(岩波新書1790)
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