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江戸川区水害セミナー2021 「なぎさニュータウンの水害対策」

更新日:2021年11月7日

江戸川区に住む私たちのマンションでは、どのような水害対策を進めればよいのでしょうか。水害対策セミナーの後半で、なぎさニュータウンで防災活動を進める”なぎさ防災会”の会長鈴木正彦さんに、事例をご紹介いただきました。


なぎさニュータウンの時計台には荒川の水位がテープで表示されている


災害時の心理「認知バイアス」とは

 「正常性バイアス」「確証バイアス」という言葉があります。「正常バイアス」とは災害時の心理を説明したもので、「異常」なことが起きても「正常」の延長上にあり、避難する際に「自分はまだ大丈夫だ」といった根拠のない安心感のことをいいます。「確証バイアス」とは、日ごろ私たちの考え方を支配する心理で、あらかじめ抱いていた先入観をベースにして、自分の仮説に合ったことだけを取り込んでいく無意識の習慣です。物事を自分が見たいように見て、聞きたいように聞く、といった態度のことです。こうしたバイアスは災害に対しての意識に表れます。

 水害が起きて数日後に片付けはじめている様子をニュースで見ても、「一戸建ては大変だ」「マンションで5階だから大丈夫だ」といった意識や、長期の浸水はあまり映像に出てこないため「正常性バイアス」と「確証バイアス」が一緒になり、「水害とはこういうもの」「一戸建てじゃないから大丈夫」「ここは都心で地方じゃないから関係ない」といった意識があるようです。


水害の事例について

 台風19号の際、武蔵小杉駅前で水害がありました。これを見て「玄関が水没する」「街が水没する」といった、今までとちょっと違った感覚を覚えたと思います。”マンションの水害=武蔵小杉タワーマンションの事例”とし、「電源問題」「トイレ問題」を課題と捉える方が多いような気がします。江東5区におけるマンション対策でも、「電源だけはなんとかしよう」と、そこしか考えない人もいます。


 これは武蔵小杉の水没した地点の数時間後の街並みです。

 ぬかるんでいる手前がタワーマンションです。正面のホテルに歩いて避難できる状況にありました。武蔵小杉の場合は、タワーマンション及び車両部分が大きく被害を受けたのですが、街は砂埃があり普通に買い物も行ける状態で、タワーマンションはエレベーターを使えないと言うところが1番のネックでした。


江戸川区が想定している被害とは違います。

 水害の面積を同じ縮尺で武蔵小杉と江戸川区で比べてみると、被害の面積が明らかに違います。マンションの水害=武蔵小杉の事例で捉える考え方は、江東5区の災害の想定をする場合と違うのではないでしょうか。

 ハザードマップによると、江東5区は長い間水没している状態になるので、別途対策を考える必要があります。武蔵小杉はライフラインは止まりましたが、翌日には地上に降りることができました。また、冠水範囲も限定的でした。全域が長期に水没する江戸川区のマンションに当てはまることではありません。


 なぎさニュータウンの概要

 なぎさニュータウンは、旧江戸川の河口付近(葛西臨海公園の北東約2km)にある7棟1324世帯、約2600人が住んでいるマンションです。

 地震対策を中心に活動してきましたが、海抜0メートル地域であることを意識して、水害対策にも取り組んでいます。


浸水深を表示する時計台

なぎさニュータウンの時計台
水位を表示するテープ
江戸川区役所前 荒川の水位が表示

なぎさニュータウンでは、区内の学校とか駅にある荒川の水位をベースにした時計台が設置されています。江戸川区に浸水深の表示が設置された直後に、マンションの広場にある時計台内に表示でわかるように同じようなテープを貼りました。住民の目に常に入るようにゼロメートル地域にいることを無意識に考えてもらう習慣付けをしています。訓練の時も、時計台の紹介をします。


施設を守る止水対策

 管理棟には、各種管制装置・機器があり、マンションの中枢です。水害から管理棟を守るため、10年以上前から、建物の外周には、止水シート、止水板を設置できるように対策しています。幸いにして1度も使ったことがありませんが、気象情報によってはいち早く設置しなくてはいけないと考えています。

 また、7つの住居棟には、電気室があり、防潮扉/防潮板が設置されています。2010年2月にチリ地震が起きた時に津波が発生する噂があり、念のため防潮扉が機能するか確認しました。建物が作られて30年以上経過しているので、閉めてみようと思ったら歪みがあって閉まらなくなったため、管理組合にお願いし修理しました。


エレベーターを土のうで守る

上層階では、風向きによっては、風雨がエレベーターホールに吹き込み、エレベーターホールが水浸しになることが起こりました。浸水した水が、その階下にあるエレベーターのカゴの操作パネルに触れて、壊れてしまうことがあるため、ゲリラ豪雨に対応できるよう各階に土のうを設置しています。7・8キロの小さな土のうをたくさん用意して、女性でも運べるようにしています。

 2019年台風第15号では、都内で多くのエレベーターが風雨により故障したそうです。つづく19号の時に「今度故障すると交換する基盤がなくなる」という情報があったため、エレベーターの操作パネルが濡れて壊れないように、台風接近前に1基のみ稼働させ、残りは最上階に移動させ、電気を切り、エレベーターの温存を図るよう、エレベーター会社に依頼しました。


住民を守るための防災・減災ガイド

 2019年5月に「水害ハザードマップ」が発行され、葛西区民館に説明会を聞きに行きました。同年7月からは、住民に向けて、江戸川区と同じ内容の説明を数回にわたって実施しました。

 従来から「防災・減災ガイド(地震編)」はあったのですが、現在は、危機管理部に内容の確認をいただき、「風水害編」を作成中です。

特に、”地震災害と風水害は違う”、”地震は予測できないが風水害はある程度予測ができる”、その違いを、住民にしっかりとわかってもらいます。


大切なのは同じフロアで助け合う「近助」

マンションの場合は「自助」「共助」「公助」に、同じフロアで助け合う「近助」が大切。被災時にむやみに地上に降りたりせず同じフロアで助けあったり、お隣は”一人暮らしで足が悪い”といった方に積極的に声をかけるなどに取り組んでいます。












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