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【1月検討会】大規模修繕工事の計画と実施 事例視察 

 管理組合の取り組みの中でも「大規模修繕工事」についてどう進めていいかわからないといった方も多いと思います。計画立案・費用算定・合意形成の方法・作業内容・設計事務所や工事事業者の選定といった、さまざまな課題にどのように向き合っていけば良いのでしょうか。そこで、今回は大規模修繕工事を施工中のなぎさニュータウン4・5号棟の大規模修繕工事の現地を視察するとともに、大規模修繕工事事業者様に、全体の流れをご説明をいただきました。



なぎさニュータウンの大規模修繕工事の説明の様子



大規模修繕工事までの流れ

こちらに、なぎさニュータウンの大規模修繕工事までの流れを紹介します。


まず、建物調査を行います。 (目視調査、物性調査) 建物の現在の劣化状況を把握して修繕設計時の資料とするため、建物の外壁・屋根・バルコニー・ 階段室や外構工作物等の劣化状況を、目視・触診・打診等にて調査します。 尚、普段立ち入ることの出来ない各戸のバルコニーは、タイプ別にピックアップして、1戸当たり 15~20分程度のバルコニー内立入調査を行います。 目視調査の他に、建物外壁に塗られている塗装の付着力を確認し、塗重ねが可能か判断するための 『塗膜付着力試験』及び、建物のコンクリートの劣化度合(中性化深度)を判断する『コンクリー ト中性化深度試験』を行います。 近年では、外壁塗装の中に石綿が含まれている場合は修繕工事時の飛散防止対策が必要となったこ とから、調査時に建物に塗られている塗装を採取し、石綿含有の有無の調査も行います。


建物調査として住民の声を聞きます。(アンケート調査) 専用使用部分であり普段立ち入ることの出来ないバルコニーの劣化状況及び住戸内への漏水の確認、 又居住者が生活している中で感じている不具合部・改良改善点を把握し、今後の修繕設計の資料と するため、アンケート調査を行います。 バルコニー内の劣化状況は、バルコニー内立入調査結果に基づいて質問を作成し、居住者が確認し やすいように、質問が示す劣化部位の写真を添付します。





主な工事の内容


開放廊下防風板の取替 なぎさニュータウン4・5号棟の開放廊下には、エレベーターホール脇と各住戸玄関前に防風板が 取り付けられています。設計段階で防風板を固定しているアンカーの腐食状況等を確認するため、 試験施工で一部解体を行いました。4号棟はアンカー部の腐食、5号棟は支柱内部の浸水を確認し、 取替工事を計画しました。 工事着工後、工事に先行して既設防風板を1箇所撤去し、既設劣化状況を改めて確認しました。


バルコニー隣戸避難板改修 なぎさニュータウン4号棟バルコニーの隣戸避難板は、枠の錆び・腐食が顕著に見られたことから、 アルミ製への取替を行います。5号棟は枠がしっかりと固定されていて錆びも少なかったため、枠 は残して、ボードと押え板の取替を行います。 新規に取り付けるボードは、4・5号棟どちらも下部はケイカル板(厚5mm)、上部フレキ板(厚5 mm)とし、下部は避難の際に破壊しやすい材質、上部は強風時対策等で強度が高い材質としました。